更新日:2022年04月01日更新
研究力分析の課題に関するタスクフォースは、2017 年秋の研究大学コンソーシアム発足と同時にスタートしました。その活動は、各大学の研究力の特徴を多角的な視点で把握するために、研究力分析指標を活用した研究 IR や戦略立案に関して、各大学・研究機関における好事例並びに必要となる関連情報やエビデンスを収集し共有することを目的としています。
このため、参加するメンバーは各大学・機関で URA あるいは類似職として研究力分析の業務に携わっている方々として、実務に役立つような情報の共有に力点をおいて活動してきました。
これまでに、各大学の事例紹介や特定のテーマについてのディスカッション、話題提供者を招いて研究力分析のツールや大学ランキング、人社系の研究力指標等に関する勉強会、提言書の作成など様々な活動を行ってきました。このような活動を進める中で約 4 年間のタスクフォース活動の集大成として、研究力分析の手法等に関する eBook を作成(Research Metrics for EBPM)することを 2021 年度の活動計画に掲げました。
実際には、 eBook の作成はかなりハードルが高いこともあり、議論の結果、事例集の作成ということに軌道修正しましたが、タスクフォースの全体会議での承認を経て事例集作成の運びとなりました。
事例集の構成や内容については、編集委員会で議論して、「各大学における研究力分析事例紹介」と主に経験の少ない URA 向けの「研究力分析に関するトピックス紹介」の 2 本立てにすることを決めました。
最大の懸念は、年度末の忙しい時期に短期間でどのくらいの原稿が集まるだろうかということでしたが、結果としてたくさんの原稿が集まり無事事例集としてまとめることができました。また、この事例集の記事をもとに 2022 年 7 月に一般社団法人情報科学技術協会の INFOSTA シンポジウムで発表いたします。タスクフォースの活動実績が事例集という「形」として残るとともに、広く国内に情報発信されることで研究大学コンソーシアムの認知度向上にも寄与することができることをうれしく思います。
最後になりましたが、お忙しいところ精力的に事例集づくりに取り組んでいただいた編集委員の先生方と短納期にもかかわらず原稿を執筆いただいた先生方に感謝の意を表します。
巻頭言
本事例集について(編集委員会委員)
第一部 研究力分析に向き合う
第1章 はじめに(矢吹命大、平井克之)
第2章 研究力分析の目的(中島聡、岡崎麻紀子、菊田隆、渡邉優香)
第3章 EBPM・EBMgt と研究力分析・研究戦略立案(押海圭一、礒部靖博、小泉周)
第4章 研究力分析とデータベース(池田虎三、上田盟子、マーク・ハンゼン)
第二部 研究力分析に取り組む
〇 東北大学における URA 研究力分析手法勉強会(湯本道明)
〇 学術雑誌データを用いた「分野間親和性」の検討(高橋亮、海邊健二、鈴木一行、高橋さやか、武田浩太郎、Hansen Marc、湯本道明)
〇 高エネルギー加速器研究機構における若手教員数の推移と将来予測(安部保海)
〇 プレスリリースと論文被引用数の関係性の分析を行う方法論の検討(高橋さやか、海邉健二、Hansen Marc、高橋亮、鈴木一行、武田浩太郎、湯本道明)
〇 被引用数世界大学ランキングデータ蓄積の試み(菊田隆)
〇 IR 分析と URA 業務の DX による効率的連携について(中島聡)
〇 サイエンスマップを活用した京都大学の研究活動モニタリング〜研究の多様性の観点から〜(橋爪寛、岡崎麻紀子、渡邉吉康)
〇 「部局訪問」による研究力分析の情報共有の実施(久間木寧子、平井克之)
〇 多様な強みを把握し、 URA による研究力強化につなげるための分析手法(伊藤広幸)
〇 URA による研究力分析の取り組み例(渡邉優香)
〇 岡山大学における研究 IR の活用事例及び体制整備(松本匡史)
〇 横浜国立大学の研究者総覧における代表的な業績と SDGs の入力内容について(大野由美子、矢吹命大)
編集後記
編集委員会
菊田 隆(大阪大学、TF 座長)、マーク・ハンゼン(東北大学)、矢吹命大(横浜国立大学)、
平井 克之 (新潟大学)、池田 虎三(金沢大学)、上田 盟子(熊本大学)、渡邉優香(九州大学)、中島聡(奈良先端科学技術大学院大学)、小泉周、壁谷如洋、押谷隆則(自然科学研究機構)