更新日:2024年01月09日更新
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Q1. 厳密な意味でのオープンアクセスが必要かどうかという話がありましたが、日本の紀要等ではライセンスがついていないものが多くパブリックアクセスの状況です。多くの大学ではCCなどのライセンスを付けていくべきと考えていくところが多いと思いますが、先生のお考えでは、研究利用などではこのままでもあまり問題ないとお考えでしょうか。
A1. 研究利用について、CCライセンスが付されていると利用しやすくなるのは間違いない。ただ、引用や情報解析など、現行の権利制限規定でカバーできる利用も多いと考える(情報解析については、生成AIとの関係で現在文化庁で議論が進められており、注視が必要)。そのため、パブリックアクセスを進めることにも大きな意味があると考える。一方、電子計算機(コンピュータ)を用いない情報解析などについては、権利制限がどこまで適用されるのか、議論が成熟していない印象がある。研究目的に係る権利制限規定のあり方は、今後も検討が必要であると考える。
Q2. ライセンス未記載=権利制限がない→自由に使って良い、ではなく、逆にライセンス未記載だから著作権の権利制限がなく自由に使えない、ということでしょうか?
A2. ライセンスの記載が無い場合、著作物の利用には原則として著作権者の許諾が必要であり、著作権法で認められる権利制限の範囲内でのみ、例外的に著作物を利用することができる。
Q3. CCライセンスは一度付与すると取り消しできないとのことですが、後から利用を緩和する場合でも取り消しできないのでしょうか。例えばCC-BY-NC-NDからCC-BYにするなど。
A3. 緩和する場合でも取り消しはできないと考えられるが、利用者はいずれのCCライセンスを選択することも可能であり、実質的に問題は生じないと考える。
Q4. 著者がすでに亡くなっているような古い学位論文などの場合、論文はあるのに複写の許諾がないために全文入手がかなわないことがよくあります。このような場合は著作権の保護期間(70年)が過ぎるのを待つしかないのでしょうか。何か動きはありますか?
A4. 令和3年の著作権改正により、古い学位論文を含めて、絶版等の理由で入手が困難なものについては、国立国会図書館の「個人向けデジタル化資料送信サービス」により全文を利用できる場合がある。
また、著作権者不明等の場合については、「裁定制度」を利用することも考えられる。裁定制度の詳細は文化庁ウェブサイトを参照されたい。
Q5. 大学で機関リポジトリの担当をしておりますが、不勉強で申し訳ございません。本学の紀要では、著作権は大学が持つことになっております。紀要の著者にライセンス(CCライセンス)の選択について質問されたときに、どれを勧めるべきなのか分かっておりません。現在は空欄にしてしまっております。
A5. どのCCライセンスを勧めるべきかは、紀要を発行する大学や学部等の方針によると考える。著作権が大学に譲渡されているのであれば、どのCCライセンスを付与するかは、著作権者である大学が自由に選べることになるが、教員の希望に応じたものを付与しているのであれば、CCライセンスについて教員に説明し、十分に理解してもらった上で、教員自身に選択してもらうのがよいのではないか。
なお、本質問に関連してアンケートに寄せられた「研究成果の著作権を大学に譲渡する大学は一般的なのか?」という旨の質問への回答になるが、紀要などの研究成果について大学が著作権の譲渡を受けることが一般的であるのかは存じ上げない。ただ、本質問のケースも、あくまで紀要への掲載に伴う著作権譲渡であり、紀要に投稿しないものを含めた研究成果全般を大学に譲渡するということではないのではないかと予想する。
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